2026/9/17 07:11

DX研修とは?目的・内容・種類から選び方・費用・助成金まで完全ガイド【2026年版】

DX研修は、データやデジタル技術を活用して業務や事業そのものを変革できる人材を、自社で育てるための研修です。「人材が足りずDXが進まない」「研修を受けさせても現場で活かされない」と悩む企業は少なくありません。本記事では、DX研修の目的・内容・種類・費用相場から、失敗しない研修会社の選び方、使える助成金までを、経済産業省・総務省・厚生労働省などの公式情報をもとに整理します。さらに、研修を“やって終わり”にせず現場に定着させ、デジタル人材を社内に育てるためのポイントを、実際の伴走支援の事例を交えて解説します。

DX研修とは?IT研修との違いと身につくスキル

DX研修とは?IT研修との違いと身につくスキル

出典:https://pixta.jp/photo/123295447

DX研修とは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に必要な知識・スキル・マインドを身につけるための研修です。ここでいうDXとは、データとデジタル技術を活用してビジネスモデルや業務・組織・プロセスを変革し、競争上の優位性を確立することを指します。

従来のIT研修が「Excelや業務ソフトの操作方法を覚えて作業を効率化する」ことを主眼に置くのに対し、DX研修は「なぜデジタル化が必要なのか」という視点から既存の業務や事業のあり方を見直し、新たな価値を生み出せる人材を育てることを目的とします。ツールの使い方だけでなく、変革を自分ごととして捉える意識・姿勢まで含めて養う点が、IT研修との根本的な違いです。

DX研修で身につく4つのスキル領域(経済産業省「DXリテラシー標準」)

経済産業省とIPA(情報処理推進機構)は、すべてのビジネスパーソンが身につけるべきDXの基礎を「DXリテラシー標準」として定義しています。学習項目は、土台となる「マインド・スタンス」の上に、次の3つを積み上げる構成です。

  • マインド・スタンス:変化のなかで新たな価値を生み出すために必要な意識・姿勢・行動(土台)

  • Why(DXの背景):社会・競争環境・顧客価値の変化など、DXがなぜ必要かを理解する知識

  • What(データ・デジタル技術):データやAI・クラウドなどのデジタル技術に関する基礎知識

  • How(データ・技術の利活用):データやデジタル技術を業務で活用する方法、セキュリティ・モラル・コンプライアンス

なお同標準は生成AIの普及を受けて改訂が重ねられており、近年のバージョンでは生成AIやデータマネジメントに関する学習項目も追加されています。研修を選ぶ際は、この4領域をどこまでカバーしているかが一つの基準になります。

出典:経済産業省・IPA「デジタルスキル標準(DXリテラシー標準)」

出典:IPA「DXリテラシー標準(DSS-L)概要」

なぜ今DX研修が必要なのか(人材不足という背景)

DX研修が注目される最大の背景は、深刻なデジタル人材不足です。総務省の令和7年版「情報通信白書」によると、日本企業がデジタル化で認識している課題・障壁のうち最も多いのは「人材不足」で、48.7%の企業が挙げています。これは他国と比較しても突出して高い割合です。次いで「アナログな文化・価値観が定着している」「DXの役割分担や範囲が不明確」などが続きます。

出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」(各国企業のデジタル化の状況)

さらに経済産業省の試算では、2030年に最大で約79万人のIT・デジタル人材が不足するとされています。採用競争が激しく外部からの確保が難しいなか、既存の社員をDX人材へと育て直す“リスキリング”=研修による社内育成の重要性が高まっているのです。

参考:経済産業省「IT人材需給に関する調査」

DX研修の主な目的

DX研修の主な目的

出典:https://pixta.jp/photo/124570447

DX研修の目的は、単なるデジタル知識の習得ではなく、企業変革を担う人材を育てることにあります。具体的には、次のような狙いで実施されます。

  • DXを推進できる人材を、外部採用に頼らず自社で育成する

  • 全社員のデジタルリテラシーを底上げし、DXを“自分ごと”にする

  • データやデジタル技術を使って、業務改善・新たな価値創出を実現する思考力・実行力を養う

  • 経営層・推進リーダー・現場など、階層ごとに必要なスキルを補う

DXは一部の専門部署だけで進めるのは難しく、営業・管理・製造などあらゆる現場の理解と協力が欠かせません。だからこそ、対象に合わせたDX研修を効果的に行うことが、DXを円滑に進めるカギになります。

DX研修の種類(対象階層別)

DX研修は、受講者の役割によって学ぶべき内容が変わります。代表的な階層別の分類は次のとおりです。自社の課題がどの層にあるかを見極めて選ぶことが重要です。

対象

主な目的

主な内容の例

全社員

DXを自分ごと化する土台づくり

DXの基礎・リテラシー標準の4領域・身近な業務のデジタル化

管理職・推進リーダー

現場でDXを企画・けん引する

課題設定、推進体制づくり、部門連携、プロジェクト管理

経営層

DX戦略の意思決定

経営戦略とDXの接続、投資判断、ガバナンス、変革リーダーシップ

専門人材

実装を担う高度スキル

データサイエンス、AI・生成AI活用、システム開発、UX設計

多くの企業では、まず全社員向けのリテラシー研修で共通言語をつくり、そのうえで推進リーダーや専門人材の育成へと段階的に広げていく進め方が一般的です。

DX研修の主な内容・カリキュラム例

DX研修では、単なるIT知識の習得にとどまらず、DXの本質理解と実行力の養成を重視します。典型的なカリキュラムは、おおむね次のような流れで構成されます。

  • DXの基礎理解:DXとは何か、国内外の成功・失敗事例、ビジネスへの影響

  • 技術の概要理解:データ活用、AI・生成AI、クラウド、RPAなど主要技術の全体像

  • 自社課題を題材にしたワーク・ケーススタディ:部門連携や推進体制づくりの検討

  • マインドセットの醸成:変化を前向きに捉え、変革を自分ごととして行動する姿勢

近年は生成AIの業務活用が学習項目に加わるケースも増えています。重要なのは、知識を詰め込むことではなく、自社の業務にどう当てはめるかまで踏み込むことです。研修後に現場で使えるかどうかは、この“自社課題への接続”の有無で大きく変わります。

DX研修の実施形式(集合・オンライン・eラーニング・内製)

DX研修は、実施形式によってコストや向き・不向きが異なります。目的と対象人数に応じて組み合わせるのが効果的です。

形式

特徴

向いているケース

集合・講師派遣型

対話・ワーク中心で定着しやすいが費用は高め

推進リーダー育成、自社課題ワークを深めたい

オンライン集合型

遠隔でも双方向。拠点が分散していても実施可能

複数拠点・在宅勤務の社員を同時に育成したい

eラーニング

低コストで全社に展開しやすい。進捗管理も容易

全社員のリテラシー底上げ、基礎知識の共有

内製(社内研修)

自社の実務に即した内容にできる。ノウハウが社内に残る

継続的に人材を育て、内製で回せる体制をつくりたい

DX研修の費用相場

DX研修の費用は、形式・時間・受講人数・内容によって大きく変わります。あくまで目安ですが、一般的なレンジは次のとおりです。

形式・内容

費用の目安

eラーニング(1人あたり)

数千円〜数万円/月

公開講座(1人あたり)

数万円〜十数万円

講師派遣・集合研修(半日)

15万〜30万円程度

講師派遣・集合研修(1日)

25万〜60万円程度

講師派遣型では、上記に加えて講師の交通費・宿泊費・会場費が別途かかるのが一般的です。費用は決して小さくありませんが、後述する助成金を活用すれば、実質的な負担を大きく圧縮できます。

※費用は各研修会社の公開情報をもとにした一般的な目安です。実際の金額は内容・人数・時期により変動します。

失敗しないDX研修会社の選び方

失敗しないDX研修会社の選び方

出典:https://pixta.jp/photo/132931885

DX研修は「受けさせたのに現場で活かされない」という失敗が起きやすい領域です。研修会社を選ぶ際は、次の観点で比較すると失敗を避けやすくなります。

  • 目的・階層に合っているか:全社リテラシーなのか、推進人材育成なのか、狙いに合致しているか

  • 自社の業界・実務を理解しているか:自社の課題を題材にワークへ落とし込めるか

  • “研修後”まで伴走してくれるか:現場実装・定着支援・効果測定まで見てくれるか

  • 効果測定の仕組みがあるか:受講後の行動変容や成果をどう可視化するか

  • 費用と助成金への対応:助成金の対象要件を満たす設計・書類に対応できるか

特に見落とされがちなのが「研修後の定着」です。DXは知識を得ただけでは進みません。次章では、研修を“やって終わり”にしないための考え方を、実際の支援事例とともに解説します。

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DX研修を「やって終わり」にしないために ― 内製化と現場定着

DX研修はゴールではなく、あくまで“入口”です。研修で得た知識を現場で実際に使い、成果を数字で確認し、やがて組織の文化として根づかせ、外部に頼らず内製で回せる状態まで持っていく、ここまで到達して初めて、研修は投資に見合う成果へと変わります。逆に、外部へ丸投げして研修だけで終わってしまうと、せっかくのスキルは定着しません。

これはデジタルマーケティングやSNS運用など、あらゆるデジタル施策に共通する原則です。実際にLightDoorが不動産会社のデジタル人材育成・内製化を伴走支援した2つの事例から、“研修を現場に定着させる”ヒントを紹介します。

事例①:社員参加型でデジタル運用を内製化・現場定着(マイホーム/横浜・売買仲介)

実際にLightDoorが支援した、横浜駅西口で30年以上にわたり地域密着の売買仲介を手がける株式会社マイホーム(センチュリー21マイホーム)では、Instagram運用を社内で行っていたものの、業務が一部の担当者に偏りやすく、通常業務と両立しながら継続する体制づくりに課題を抱えていました。「外部に丸投げするのではなく、社内にノウハウを蓄積したい」という思いが出発点でした。

そこで、次のような“定着”のための工夫を重ねました。この5つは、DX研修を現場に根づかせるうえでもそのまま応用できる要点です。

  1. 取り組む意味を経営者が自ら伝える

  2. 担当者を一人にしない(複数人・先輩後輩ペアで進める)

  3. 数字だけでなく、社員の成長も評価する

  4. 問い合わせ・成約・流入などの成果を社内で共有する

  5. 制作したコンテンツを他の媒体(ホームページ・MEO)にも活用する

結果として、フォロワーは6か月で約700人から約1,800人へと増加。Instagram経由の問い合わせ・成約に加え、コンテンツをホームページやGoogleビジネスプロフィールへ展開したことでSEO・MEOの掲載順位も向上しました。さらに、新人と先輩がペアで撮影に行くなど、施策そのものが人材育成の機会へと発展しています。

「振り返ると、最も良かったのは、社内にSNSへ取り組む文化ができたことだと思います」(同社・妹尾様)

研修や施策を“文化”にまで落とし込めれば、担当者が変わっても組織として回り続けます。これこそがDX人材育成のゴールといえます。

社員参加型でデジタル運用を内製化|マイホームの支援事例

事例②:未経験人材を1年でデジタル人材へ育成(FJリアルティ)

同じくLightDoorが支援した、湾岸エリア特化の不動産仲介会社・株式会社FJリアルティでは、SNS・マーケティング未経験の営業事務だった担当者を、段階的な育成計画に沿って一つずつ型にしながら育てていきました。

アカウント設計・投稿型のパターン化から始め、画像制作・動画編集・分析・改善まで、数値をベースにした伴走で少しずつスキルを積み上げます。その結果、担当者は約1年でInstagram・YouTube・Xの全体を自走で担うマーケティング責任者へと成長し、年収は前職比で約2.5倍に。会社全体の売上も、支援期間中に約6,000万円から約2億円へと拡大しました。

「未経験でも、環境と伴走してくれる人がいれば、必ず成長できると実感しています」(同社・田畑さん)

外部から即戦力のDX人材を採用するのは容易ではありません。しかし、適切な研修と伴走があれば、未経験の社員でも自社のデジタル人材へと育てられます。“採用が難しいなら、育てる”という選択肢を、この事例は示しています。

未経験からデジタル人材へ|FJリアルティの育成事例

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DX研修に使える助成金(人材開発支援助成金 リスキリング支援コース)

DX研修の費用負担は、国の助成金で大きく軽減できます。代表的なのが、厚生労働省の「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」です。DX・GX・新規事業などに向けて、既存のスキルセットを超える専門知識・技能を社員に習得させる訓練(OFF-JT)が対象で、訓練経費と訓練中の賃金の一部が助成されます。

項目

中小企業

大企業

経費助成率

75%

60%

賃金助成(1人1時間あたり)

1,000円

500円

1人あたり経費助成の上限

10〜100時間未満:30万円/100〜200時間未満:40万円/200時間以上:50万円

同左

1事業所あたりの年度の助成限度額は1億円までです。ただし利用には、訓練開始のおおむね1〜6か月前までに「事業展開等実施計画」を作成し、労働局の確認を受ける必要があります。制度は年度途中で変更されることがあるため、申請前に必ず厚生労働省の最新情報を確認しましょう。

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」案内

内部リンク/ リスキリング助成金・人材開発支援助成金の使い方(近日公開)

まとめ:DX研修は「研修+定着支援」で成果に変わる

DX研修とは、DX推進に必要な知識・スキル・マインドを身につけ、変革を担う人材を自社で育てるための研修です。深刻なデジタル人材不足を背景に、採用に頼らず社内で育てる“リスキリング”として重要性が高まっています。経済産業省の「DXリテラシー標準」が示す4領域を軸に、対象階層に合わせて内容・形式を選び、厚生労働省の助成金を活用すれば、コストを抑えながら効果的に取り組めます。

そして最も大切なのは、研修を“やって終わり”にしないこと。習得したスキルを現場で使い、成果を共有し、組織文化として定着させ、内製で回せる状態まで伴走することが、DX研修を投資として成立させる分かれ道です。「研修は受けさせたい。でも現場で活かし、社内に定着させたい」そんなデジタル人材育成の伴走を、LightDoorが支援します。

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よくある質問(FAQ)

Q. DX研修とIT研修の違いは何ですか? 

A. IT研修は主にツールの操作方法を覚えて作業を効率化することが目的です。一方DX研修は、デジタル技術を使ってビジネスモデルや組織そのものを変革し、新たな価値を生み出せる人材を育てることを目的とします。ツールの使い方だけでなく、変革に向けたマインドまで含めて養う点が異なります。

Q. DX研修の費用相場はどのくらいですか? 

A. 形式や時間で変わりますが、eラーニングは1人あたり数千円〜数万円、講師派遣の集合研修は半日で15万〜30万円、1日で25万〜60万円程度が目安です。講師の交通費・会場費が別途かかることもあります。助成金の活用で実質負担を抑えられます。

Q. DX研修に使える助成金はありますか? 

A. 厚生労働省の「人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)」が代表的です。中小企業なら訓練経費の75%、訓練中の賃金も1人1時間あたり1,000円が助成されます。訓練開始の1〜6か月前までに計画届の提出が必要です。

Q. 研修を受けても現場で活かされません。どうすればよいですか? 

A. 研修を“入口”と捉え、その後の現場実装・定着まで設計することが重要です。経営者が意味を伝える、担当者を一人にしない、成果を社内で共有する、成長を評価する、といった仕組みづくりで、学びが組織に根づきやすくなります。

Q. 未経験の社員でもDX人材に育てられますか? 

A. 育てられます。段階的な育成計画に沿って、数値をベースに伴走することで、未経験の社員がデジタル人材へと成長した事例もあります。外部採用が難しい今、既存社員を育てる選択肢は現実的で効果的です。


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この記事を書いた人

ライトドア編集部

「ポータル依存を脱却して、自分たちで集客できるようになりたい」そんな不動産会社様の課題に向き合い続けている実務者集団です。 Instagram・Web広告・LP設計・SEO/AIO・LINE導線設計を軸に、実際の運用現場から得た実践的ノウハウを発信しています。

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